教材紹介03:コグトレ

こんばんは、ちどりです。

今回は認知(考え方・捉え方)を「鍛える」分野の教材となります。
認知を「広げる」「鍛える」、認知に「合わせる」分野についてはこちらの記事をご覧ください。



あらまし

今回は宮口幸治氏考案のコグトレについてです。


f:id:wachidori:20220417113315j:plain

コグトレは当初は覚える、数えるなどの認知機能強化…いわゆる学習面のトレーニングから始まったのですが、今は社会面、身体面にも広がり、包括的なプログラムとなっています。
コグトレという名称も社会面はCOGST、学習面はCOGET、身体面はCOGOTと細かく分類されるようになりました。

今回はそんなコグトレの中でも元祖。現在のCOGETについてまとめます。


使い方

使い方は至って単純。

覚える、数える、写す、見つける、想像するという5つの分野から伸ばしたい力を選び、そのプリントを印刷して取り組ませるだけです。
かなりの種類があるので、実態に合わせて使いやすいです。


まとめ

今回、紹介した教材のねらいは以下の通りです。

  • 覚える、数える、写す、見つける、想像するといった学習の基となる認知機能を鍛える

子どもの抱える困りはこのコグトレだけで解決するものではないかもしれませんが…

  • 認知を「広げる」分野のSSTと合わせて見つける、想像するトレーニングをする
  • 認知に「合わせる」分野の自分の特性に合った学び方や覚え方と合わせて、覚えるトレーニングをする

というように、組み合わせて指導していくことで必ず効果が出ます。
各種コグトレプリントのねらいと、指導したい事柄を吟味して使うと効果的と思いますよ。


ちなみにこちらの教材、Amazonで手に入ります。


上記が基本となるコグトレですが、難しい場合はやさしい版もあります。


こちらの2冊はプリントデータを収録したCD-ROMが付属しています。
印刷してすぐに使えるので、かなりオススメですよ。よければお試しくださいね。



教材紹介02:かえるカード

こんばんは、ちどりです。

教材紹介記事、第2弾。
今回も認知(考え方・捉え方)を「広げる」分野の教材となります。


あらまし

f:id:wachidori:20220307161216j:plain


使い方

カードの黄色い面にはマイナス表現、裏面の白い面にはプラス表現の言葉が書かれています。

本教材を購入するとセットでウォールポケットがついてきますので、そこにかえるカードを入れ、定期的に交換しながら、子ども自身にひっくり返してもらうように使用します。
これだけ書くと、教材というより環境整備の一環な感じがしますね。

ただ、両面とも端的な言葉で書いてありますので、リフレーミングの学習をした際に直接提示しながらリフレーミングの具体例として紹介したり、問題・解答として使用したりとアレンジできます。

なお、青色のカードも同梱されており、大人向けの内容が取り上げられています。
具体的には「仕事、忙しいなぁ」みたいな内容ですね。

教材の作りがシンプルなだけに、色々と応用が効きますよ。


まとめ

今回、紹介した教材のねらいは以下の通りです。


ちなみにこちらの教材、Amazonで手に入ります。



よければお試しくださいね。



教材紹介01:トーキングゲーム

こんばんは、ちどりです。

このカテゴリ記事では、私が使っている教材をご紹介します。
読んでいる方の指導の閃きの一助になれば幸いです。


あらまし

f:id:wachidori:20220301200059j:plain

初回となる今回は、認知を「広げる」教材としてトーキングゲームを紹介します。


使い方

2人以上で取り組みます。

カードをシャッフルし、参加者は順番にカードを引いていきます。
カードを引いた参加者は、カードに書いてあるお題について話し、他の参加者は横槍を入れず傾聴の態度を意識して話を聴きます。

上記の活動を通じて、話したり聴いたりする力を高めます。

また、カードにはお題だけではなく「PASS」と書かれたものもあり、自分が話したくない話題の場合は話さないこともできます。

ちどりは使い方を少しアレンジして、話すことに1分の制限時間を設定しています。
この制限時間により「決められた時間で何を話そう?」と自分の話すことをまとめる力を高められたり、1分なら集中して聴こうと意欲をもたせられたりします。


まとめ

今回、紹介した教材のねらいは以下の通りです。

  • 子どもとの信頼関係づくり
  • 話す、聴く力を高める
  • 話す内容をまとめる力を高める


ちなみにこちらの教材、Amazonで手に入ります。


よければお試しくださいね。



発達障害通級指導教室で指導する3つの分野

こんばんは、ちどりです。

私は発達障害通級指導教室の担当をしています。


f:id:wachidori:20220226142336j:plain

通級指導教室、通級による指導は子どもの自立を目指し、障害による困難を改善・克服するために一人一人の状況に応じた指導を行うものです。

具体的な指導内容については、学習指導要領における「自立活動」の領域に沿ったものとなります。
「自立活動」は、個々の生徒が自立を目指し、生涯に基づく種々の困難を主体的に改善・克服するために必要な知識、技能、態度及び習慣を養い、持って心身の調和的発達の基盤を培うことを目標としています。
特別支援教育にゆかりのない方は、あまり聞き慣れない言葉かもしれませんね。

たまに通級指導教室を「学習の遅れに対する補充をする場」と誤解されている方もいますが、そうではありません。
もちろん、特に必要があるときは、障害の状態に応じて各教科の内容を取り扱いながら行うことも可能ですが、あくまで障害による学習上又は生活上の困難を改善し、又は克服することを目的として行う必要があります。
(過去、通級指導教室について「各教科の内容を補充するための指導ができる」と記載されている時期もありましたが、各教科の補充…つまりは学習の遅れの補充と読み取られてしまい、本来の目的を逸してしまうことから、そのような記載から変更されました。)

ただ、利用する方に「自立活動」の説明をしても、なかなかうまく伝わりません。
そこで私は、発達障害通級指導教室で行う指導について、認知を「広げる」「鍛える」、認知に「合わせる」という3つの分野で整理して説明しています。
以下、詳しくまとめていきますので、参考になれば幸いです。



前提のお話、「認知」とは?

まず3つの分野の前提の「認知」のお話。

「認知」については様々な分野で様々な説明がされています。
私は「物事に対する考え方や捉え方」という意味で使用しています。

通級指導教室はこの「認知」について、様々な働き掛けをしていく場所と考えています。


認知を「広げる」

はじめに認知を「広げる」分野についてお話しします。

先ほど認知について簡単に説明をしましたが、それを「広げる」というのは、今の自分の考え方や捉え方だけでなく、もっと様々な考え方や捉え方を知り、自分に取り入れるというようなこと指します。

よくある例えでありますが、水が半分入ったコップを見て「水が半分しか入っていない」と捉えるか、「半分も入っている」と捉えるか、はたまた「喉が渇いた」と捉えるのかは人により違います。
もちろん極端すぎなければ違うこと自体には良悪はないのですが、あまりにも一般的な感覚からずれると本人がつらく感じることもあります。

もっと具体的に言うと、以下のようなことが考えられます。

  • 自己理解を深めて、自分の認知について考える
  • ストレスマネジメントの学習を通じて、不安との付き合い方を考える
  • アンガーマネジメントの学習を通じて、感情コントロールについて考える
  • ソーシャルスキルレーニングを通じて、具体的なスキルを獲得する

心理療法的なことで言うと、認知行動療法を参考にしながら、子どもを否定するのではなく、自己理解を深めつつ、さらに多様な考えができるように支援していくことがポイントになります。

自閉症スペクトラムADHD、不安症傾向の子どもにはこの内容を厚くします。


認知に「合わせる」

次に認知に「合わせる」分野です。

ここは本人のもつ考え方た捉え方…言い換えれば特性に合わせた方法について取り扱います。
主な対象はLD…学習障害傾向の子どもです。
LDと一口に言っても読み障害、書き障害、算数障害など様々なパターンがあります。
それに合わせた、得意を生かした学習方法について指導する分野ですね。

先ほどと同じように、より具体的にすると、以下のようなことが考えられます。

  • 読みが苦手な子どもに対してリーディングトラッカー(読む場所を焦点化するための補助具)を紹介し、定規などで代用する方法を指導する
  • ワーキングメモリが低い子に対し、自分なりの覚え方について考える
  • 継次処理、同時処理について知らせ、自分の得意な方式について考える

この分野では、本人の特性について担当者が理解していることが大切となります。
子どもがWISC-Ⅳを始めとした知能検査やK-ABCⅡのような発達検査を既に受けているなら、その結果をもとに何を指導するかについて十分に検討することが大切です。


認知を「鍛える」

最後は認知を「鍛える」分野となります。

今まで認知を「広げる」こと、認知に「合わせる」ことを紹介しましたが、そもそもこの認知の機能自体が十分に育ってない場合は土台がしっかりしていない家のように、いくら指導をしても改善は見られないように感じます。
よって、考え方や捉え方の基礎となる力を高める必要があるのです。

私は宮口幸治氏考案の「コグトレ®(Cog-Tr)」のうち「COGET」を取り入れて指導をしています。


「COGET」は、学習の基となる機能として「覚える」「数える」「写す」「見つける」「想像する」という5つの力を認知機能とし、それを鍛える認知機能強化トレーニングです。

コグトレについては、現在は学会もありますのでよければご覧ください。 発達障害通級指導教室における指導のヒントが山盛りです。


まとめ

「広げる」「合わせる」「鍛える」という三つの視点はいかがでしたか?

通級指導教室の指導は一人一人に対してオーダーメイドの指導です。
どうすればいいのか分からなくなってしまいがちではありますが、こと発達障害通級指導教室においては、上記の3つの分野を意識しておけば本筋からは逸れないと思います。

本ブログでは、上記の3つの分野に整理した形で教材についても紹介していきます。
少しずつになると思いますが、楽しみにしていただけたらうれしいです。


最後に

本記事は文部科学省が発行した「初めて通級による指導を担当する教師のためのガイド」を参考にしながら、ちどりの私的な考えをまとめたものです。
ちどりの教育観のアップデートと共に、記事の内容も適宜アップデートしていきます。
その記録を以下に載せておきますので、ご確認ください。


2022.2.26 初回執筆



過去と他人は変えられないが、自分と未来は変えられる

こんばんは、ちどりです。


f:id:wachidori:20220223120507j:plain

カナダの精神科医であるエリック・バーンのコトバ。
エリック・バーンエゴグラムの基となる交流分析の理論を考案した方です。

交流分析では心を以下の3つの自我に分けて理解します。

  • 親:過去に自分の親などの外から取り入れた思考・感情・行動パターンの再現
  • 大人:現在の状況に対する自主的な思考・感情・行動のセット
  • 子ども:過去の自分が子どものころに体験した思考・感情・行動パターンの再現

この3つの自我のうち、今の自分がどれに当てはまるかに気付くことで、自発的に自我を切り替え、過去に縛られない自律的な自分を再発見します。

この交流分析から発展したエゴグラムでは、心をさらに5つの領域に分けます。

  • CP(お父さん度):「支配的な親」の自我状態
  • NP(お母さん度):「養育的な親」の自我状態
  • A(大人度):「合理的な大人」の自我状態
  • FC(やんちゃ坊主度):「天真爛漫な子ども」の自我状態
  • AC(いいこちゃん度):「従順な子ども」の自我状態

この各項目の得点を折れ線グラフにし、その見た目でどのような性格傾向かを診断します。


少し話が逸れてしまいましたね。

「過去と他人は変えられない」 「自分と未来は変えられる」

これは真理かなと思います。
特に変えられない他人を変えようとし、期待し、苦しんでいる人をよく見かけます。

自分ができることは何なのか、未来をどのようにしたいのか。
そのような前向き思考で生きていくことで、心を健康に整えたり、新しいアイデアが湧いてきたりするように思います。

常にそのような自分でありたいものですね。



無我夢中の時間を過ごす

こんばんは、ちどりです。

本日ご紹介するのは映画監督である大島渚さんの言葉です。


f:id:wachidori:20220220204005j:plain

「青春残酷物語」「太陽の墓場」などの映画を制作した大島渚さん。

人はそれぞれ十人十色、それぞれの人生に対する価値観があります。
学校現場を見て「忙しい」と声高に話し、でも実際には文句ばかりで何も変えようとしない人がいます。
せっかく自分が選んだ仕事、それでは自らどんどんつまらなくしているだけな気がします。

もともとは好きで始めた教師という仕事。
子どものために、自分のために現状を変えようと無我夢中で過ごすことはとても意義あることだと思います。
利益ではなく、理想を追求できる教師だからこそ、無我夢中に謳歌したいものです。



余裕や余白は大切というお話

こんばんは、ちどりです。


f:id:wachidori:20220219000823j:plain

私は常日頃から余裕が大切と思っています。
余裕があるからこそ正しい判断ができると思ってますし、支援も適切になると思ってます。

そしてこの余裕は積極的に作っていくものだと思います。
ただ、現状の教育現場は常に足し算…。
最近ではコロナ禍の影響でタブレットPCの管理・運営、指導、オンライン授業などが足されました。

挙句、足されたものに関して十分に向き合える状態でない現場では、現在の第6派においてオンライン授業が実施できず、何かと叩かれております。
…いや、普段から私たちいっぱいいっぱいなんです…。


そんなときに見つけたTwitterのつぶやき。



いや、これですよ、これ。
教育現場に足りないものって。

7割という上限を定めることで意図的に余裕をつくる。
これができれば、有事の際にも対応できるし、そうでないときはより良いものが提供できると思います。


ただ…



こんな意見も目にするので、なかなか現実は難しいのかなって…。

兎にも角にも仕事を足し算するだけではなくて、足した分は減らす、余裕を作ることをイメージして働いていきたいものです。